想うこと

自然塗料のように“時と共に育つ”素材たち|ランドセルと柿渋の共通点



娘が6年間背負ったヌメ革のランドセル

ついこの間も書いたブログですが
数日前、ポストに一枚の葉書が届いた

 

差出人は、
あのランドセルを届けてくれた
土屋鞄さん


かわいいランドセルの形をした
「卒業おめでとうございます」のハガキ

 

続くメッセージにはこう


「あふれる思い出を、
いつまでもそばに残しませんか?」

 

ランドセルを職人さんの手で
小さなアイテムにリメイクしてくれる
というご案内だった





ランドセルを買ったときから
私はなんとなく考えていました


「この子が卒業したら、
このランドセルを小さな思い出の品に
生まれ変わらせてあげたい」って

葉書に添えられたQRコードで
さっそくホームページへ


ミニチュアランドセル
カードケース
キーケース、ペンケース…。
どれもこれも、素敵なアイテム

 

「これなら、ずっと使えるよね」と
ワクワクが胸に広がった…んですが





…正直に言いますね
お値段、けっこうします

 

いや、わかってるんです
手間がかかるのも
職人さんが一つひとつ丁寧に
仕立て直してくれるのも


本物の革って
手をかけて生まれ変わらせるには
それ相応の時間も技術も要る



それは、
うちの会社で作っている

柿渋の自然塗料も同じ


柿渋はね、青い柿を搾って
樽で5年もかけて発酵させて作る


その過程でタンニンがぐっと増して
抗菌や消臭
そして木を強くする力が生まれる

すぐに完成しないからこそ
深みがある


だからこそ、大切にされる
そして、長く使い続けられる




ヌメ革も柿渋も

「時間と手間で育つ素材」なんです
だから共感するんです
このリメイクのサービスにも

ただね、私の心に引っかかったのは
値段だけじゃなかった

 

6年間、毎日背負って
雨にも風にも雪にも負けず
頑張ってきたランドセルを

バラバラにしてしまうことに
なんだか踏ん切りがつかない

 

ボロボロになってるけど
あのキズもこのシミも
全部小学校生活そのもの


それを「解体」するのって
思った以上に
感情が追いつかないもんなんですね

 

とはいえ、いずれは
ポケットに入れて、ずっと一緒に連れて
歩けるようなアイテムにしたいな

 

今はまだ、クローゼットの中で
そっと休んでもらって


頑張ったランドセルに
もう少し“余韻の時間”を
与えてあげようと思う

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